Go to School News 2024.5.1 vol.1
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日々の練習の積み重ねがラスト13秒の逆転劇につながった自分にない価値観を持った仲間との出会いを大切に進学しました。ンピックに出場されました。のは、小学6年生でアテネオリンピックを見たときから思って口にしていた言葉ですけど、本気でその夢が目標になったのは、大学時代に世界選手権を戦って勝ってからです。絶対に成し遂げたい具体的な目標になりました。か?保里さんが話してくれたのが、「オリンピックには魔物が住むって言うけど、別に世界選手権と相手が変わるわけでもないし、マットの大きさが変わるわけでも会場が広くなるわけでもない、今まで戦ってきた舞台と何も変わらない。魔物は自分自身の中にいるんだよ」ということでした。実際、会場に入っても世界選手権のほうが照明とかもすごかったなとか、緊張はしていたん登坂 登坂 ——大学院に進学された2016年にリオオリ——やはりオリンピックは特別な大会でしたオリンピックで金メダルを獲りたいというオリンピックが決まったときからずっと沙2016年8月、リオ五輪決勝のマリヤ・スタドニク戦。残り13秒で1-2とリードされるも、片足タックルからバックを奪い、3-2の逆転勝利を収めた。(提供:朝日新聞社)でしょうけど、それほどではありませんでした。1回戦2回戦ぐらいは気を抜くわけじゃまったくないんですけど、自分の中でやることさえできれば大丈夫っていう自信はあったので、楽しめました。ただ、準決勝以降はどうなるかわからなかったので余裕はありませんでした。劇的な勝利でした。そのときのことをすべては覚えていないんですけど、最後に時計を見たのが残り45秒で、1ポイント差で負けていました。勝つためには攻めるしかない。本当に無我夢中で攻めました。そんなときほど今までやってきた練習が出るんだなというのを感じましたね。練習でも負けているシーンを想定した練習を     4に自然とその形を出せました。ラスト13秒で逆しますが、練習だからって流しちゃう選手もいるんです。とにかくラスト10秒20秒で何対何で負けていたらこれだけ点数取らないといけないという練習の中で、攻撃を仕掛けることをすごく大切にしてきたので、オリンピック決勝の最後転した片足タックルにしても、ずっと練習してきたものが決まったので、子供の頃からの積み重ねの結果だと思っています。かがでしたか?あんなにも純粋に100%の嬉しいという気持ちは、現時点でオリンピックのあの瞬間だけだったなと思いますね。勝った瞬間に会場全体がバーっと歓声に包まれて、一生に一回の光景だと思います。私を応援してくれていた人がたくさんいたと思いますが、私が逆転したあの瞬間、勝った瞬間に皆さん、ウワーって、ヨッシャーってなったと思うんですよ。何もかも忘れて嬉しいだけの気持ちで皆さんと時間を共有できた、その一瞬をつくれたことが競技人生で一番の誇りだなと思いますし、やってきてよかったなと感じます。オリンピックで優勝した人が、よく感謝の気持ちを言葉にするじゃないですか。子供の頃は、私が金メダルを獲ったときは絶対に自分のおかげと思うだろうなって考えていたんですよ。で登坂 登坂 ——決勝のマリヤ・スタドニク戦では逆転での——金色のメダルを手にしたときの気持ちはい——その後、ご結婚とご出産をされ、2022も、まず言葉に出たのは、周りの人への感謝の気持ち、自分一人では絶対にここまでこられなかったという思いでした。チームもそうですし家族も友達も、周りの人たちがあってのことです。競技を通して、人間的にも成長できたと感じることができました。年には現役を引退。今はメディアに出演されるなど幅広く活動されていますね。自分自身の経験を伝えることで、何か次につながればいいと考えています。子供の頃、私が沙保里さんや浜口京子さんをTVで観て憧れたように、元レスリング選手がこうやって表に出ることで、夢を持つ子が増えてくれたら嬉しいなって思いますね。レスリングって他の競技よりハードルが高そうに見えるんですけど、ウォーミングアップとかはすべてのスポーツの土台になる全身運動で、それを取り入れた子供向けの運動教室などもやらせていただいています。それとスマイルコンパスという団体を立ち上げました。スポーツでは勝ち負けも重要ですけど、それだけだと負けたときに楽しさを見失ってしまいます。それ以外の楽しさも知ってほしいなという思いから、たくさんの子供たちにスポーツ登坂 皮切りに、オリンピック3連覇を果たした女子レスリング界のレジェンド。登坂さんは至学館大学(吉田さん在学時は中京女子大学)の後輩にあたる。アテネ五輪、北京五輪で銅メダルを獲得。現役引退後は、指導者でもある父親のアニマル浜口さんとともにイベントやメディア出演等で活躍している。ら無敗伝説を築き上げ、女子史上初のオリンピック個人種目4連覇という偉業を成し遂げる。現在はALSOKでコーチを務めている。の楽しさを知る機会をつくっていきたいと考えています。スポーツを通して出会う人とか、そういったところも大切にしてほしいなという思いがありますね。自分がスポーツを通して成長させてもらった分、スポーツ界に恩返しできたらなっていうふうに考えています。ジをお願いします。大学に進学して環境が変わると、一気に世界が広がるんですよね。例えば、大学にはいろいろな興味を持つ様々な人々が集まってきます。私も大学で出会った仲間の夢や興味を聞いて、そういう世界、選択肢もあるんだと感じる機会がたくさんありました。そういう仲間とはお互いを刺激しあえる良い関係で進んでいけると思いますので、その出会いをぜひ大切にしてほしいなと思います。*1 吉田沙保里さん:2004年のアテネ五輪を*2 浜口京子さん:女子72㎏級の日本代表として*3 伊調馨さん:吉田さんとともにアテネ五輪か登坂 ——最後に大学進学をめざす高校生にメッセーリオ五輪で日本は女子レスリング6種目中4個の金メダルを獲得。登坂さんはその先陣を切り、その後のメダルラッシュに弾みをつけた。(提供:朝日新聞社)

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