Go to School News 2024.8.1 vol.2
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「ギャップ」のもつ力を知った佐渡島を飛び出して大学の授業がきっかけで行政との動画コラボが実現仕事も学びも目的が大切誰かのためになることをしたいすが、当時はどんな分野に興味がありましたか?ニスをやっていたのでスポーツ分野に携わりたくて、理学療法士の資格を取ろうと考えていました。高校生時代を思い返すと、部活動に明け暮れてしっかりと勉強できていませんでしたね。部活動に支障が出ないラインを見極めて、テスト期間になってから勉強しはじめていました。受験生のみなさんには、僕を反面教師にしてもらえればいいな、と(笑)。のように向き合われていましたか?験勉強に本格的に着手したのですが、なかなか気合いが入らず切り替えに苦労しました。残念ながら時間をかけた分だけ覚えられるようなタイプではなく、「長く」机に向かうよりも「こまめに」勉強するように心がけました。隙間時間を使って勉強する方が向いていたので、そうした勉強法を意識していましたね。      3  トの単語を見直したり、反対にしっかり睡眠をいたので、その時間を無駄にしないよう小テスけえ【島育ち】さん(以下けえ) 長くソフトテけえ ——佐渡高校の理系クラスで学んだとのことで——部活動に取り組むなかで受験勉強にはど高校3年生で部活動を引退してから受例えば、島では約1時間かけてバス通学して動画は弟(写真右)がスマホで撮影。編集は2人で分担しながら行う。取ったりしていました。隙間時間を使うスキルを身につけたことが、大学生になって動画投稿をスタートしたときにも少しは生かせたのかな、と今振り返れば思います。かけを教えてください。るというのが島にいる若者の主流な動き方で、僕も「島を出てみたい」「都会の空気を吸ってみたい」と感じていました。当時は島に対してあまり思い入れがなかったので、とりあえず関東の大学に行きたい一心で受験勉強をこなしていました。ろかったことはありますか?しかったですね。友達とボウリングしたり、高速道路をドライブして遠出したり。佐渡島内には高速道路がないのでおもしろかったです。特別な出来事ではなくても、初めてどこかに行く、何かを体験するだけでも楽しかったです。車がなく車社会なので、ほぼ何もわかりませんでした。ただ、そういったギャップやコンプレックスは大きな強みにできるとも感じています。僕は佐渡島出身ということをマイナスに捉えていたのですが、実はプラスになるとわかりました。は「新潟から来ました」と、佐渡島出身であることを隠したんです。田舎者だと馬鹿にされるのではないかという恥ずかしさや不安があったから。ある日、「新潟県のなかでもお前はどこ出身なんだ」と聞かれて仕方なく佐渡島出身だと答えたのですが、意外にもみんな興味を持ってくれて、それがきっかけで友達がすごく増えました。自分としては「島出身」というのはコンプレックスだったのですが、そのとき「これってプラスなことなのか」と気づきました。かつて恥ずかしく思っていた佐渡島出身だからこそ大学生活がとても楽しくなったので、今後同じよけえ けえ けえ けえ ——ご出身である佐渡島を出ようと思ったきっ——県外へ進学して、楽しかったことやおもし——それでは、苦労やギャップを感じたことは?——それは何がきっかけだったのですか?高校を卒業したらいったん佐渡島を離れ新しいことをたくさん経験できたのが楽苦労でいうと、電車の乗り方。島には電大学の授業で自己紹介をしたときに、僕うに島を出る子たちや地方出身の受験生も安心してもらえたらと思いますね。すが、動画クリエイターとしての活動と、学生生活の両立は大変でしたか?時間に追われていましたね。ときには朝4時に撮影をはじめ、終わったらすぐ寝て、朝起きて大学に行って、帰ってきた後、編集して公開するようなサイクルでした。へ転部されたとのことでしたが、なぜですか?きっかけは、動画投稿やSNSでの発信に専念したいと考えたことでした。新型コロナウイルス感染症の影響も相まって、対面授業が少なく家にいる時間が多かった頃に、漠然とこのままで良いのか、本当にやりたいことはなんだろうと考え出しました。そのときにはすでに佐渡島をとても好きになっていたので、YouTubeで発信すれば人気を集められるのではないかと思いついたんです。大学3年生になると僕のいた医療系の学部は実習が忙しくなるので、動画投稿や発信に専念する時間がなくなると感じ、転部を決意しました。特に、マーケティングの授業が興味深かったです。「なぜ大企業はうまくいっているのか」という視点で企業戦略を学び、そのメソッドをYouTubeにちょっと取り入れました。最も直接的に繋がったのは地方の行政機関で地域おこしに参画できる授業です。そのなかにふるさと納税を学ぶものがありました。その後、別のタイミングで佐渡市役所の方々と話す機会が訪れたんです。そのとき、大学で学んだ知識からふるさと納税について思っていることを話したら「それなら、動画を一緒に撮ろう」という流れになり、行政の方とふるさと納税を訴求する動画を撮影させてもらえました。大学での学びを実際に生かせておもしろかったですね。けえ けえ けえ ——大学在学時から動画の投稿をされていま——3年次に医療系の学部から経営系の学部——印象に残っている授業はありますか?で、気持ちに変化はありましたか?当初は、自分自身にベクトルが向いていたように思います。有名になりたい、チャンネル登録者何人を達成したいなど「自分がこうなりたい」という気持ちが強かったのですが、活動を続けていくうちにファンの方が増え、なかには佐渡島出身の方がコメントをくれることも増えました。それが本当に、心から嬉しくて。ありがたいことに僕のチャンネルの視聴者の方が実際に佐渡を訪れてくれることも多いんです。「佐渡に行ってきたよ」と感想をいただくうちに、佐渡島にいる方や来てくれる方のために自分にできることをしたい、楽しい気持ちになってもらいたいという、相手に対する気持ちが少しずつ芽生えてきたように思います。まにか誰かのために変わっていたのですね。自分のためだけでは仕事は楽しくないと感じるようになりましたね。「人のために何かしてあげたい」という思いをもって仕事すると楽しいということ、目的が大事であることを大学生活で知れたのは、とても得難い経験でした。が来場して、大成功されていましたね。ひとつ大きなイベントをやり遂げたと思いますが、今の目標や、今後挑戦したいことは?まず、YouTubeチャンネルの登録者数100万人を達成することですね。“佐渡島の金山”*を有する島の人たちに、金の盾を見せたいです(笑)。自分の発信力を利用しながら、佐渡島の魅力をより多くの人に伝えて観光や地域活性化に繋げていければと考えています。あとは、海外編をやってみたいんですよね。海外で「佐渡おけさ」の格好をして、 それが外国の方にウケるのかみたいなものを動画にしてみたいです。発信源である僕だけでなく、佐渡島が世界的に有名な島になったら良いなと思います。けえ けえ けえ ——YouTubeでの動画投稿を続けるなか——自分のためにはじめた動画投稿が、いつの——主催された佐渡島フェスにはたくさんの人——最後に、大学合格をめざして頑張る受験*世界遺産登録審査中。生に向けて応援のメッセージをお願いします。がむしゃらにやることが大事だと僕は思っていて、特に受験生は勉強の予定をガチガチに決めがちですよね。だいたいそういうのは思い通りにいきません。だけど、予定が崩れたときも「がむしゃらにやるだけ」という思いでいると、予定とは違うけど良い、とりあえず進む、やるしかないという気持ちになれるはずです。そうすれば道に迷いづらいのかなと思います。受験生だった頃の自分に今、声をかけるなら「ちゃんと達成感を抱けるように努力しなよ」と言いたい。正直、なんとなく受験勉強をしてしまったので、妥協せずやりきれば良かったと思っています。YouTubeで登録者10万人を突破したとき、すごく気持ちよかったんです。辛かった分、頑張ってきた分、ゴールしたときの喜びはひとしおでした。懸命に努力した結果、自己ベストを出せなかったとしても、全力で走りきった後の達成感は味わえるはずです。みんなも精一杯、悔いのないようにしてください。けえ ●YouTube けえ【島育ち】 https://www.youtube.com/@kee_sado ●X @kee_sado ●Instagram @kee_sado ●TikTok @kee_sadoYouTube動画「佐渡ヶ島の踊り『佐渡おけさ』でシャトルランしたら何回いける?」にも登場する「佐渡おけさ」。衣装のおけさ笠を被って披露。YouTubeチャンネルSNSアカウントこちらからアクセス誌面には入りきらなかったけえ【島育ち】さんのインタビューが『ユニフェスonline』で読める!

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